沖縄の家づくりでは、まず大まかに部屋やリビング、キッチンなどの位置を決める「ゾーニング」から始まり、家族のヒアリングを基に設計士が間取り図に起こしていきますが、そこでは陽当たりや風通しまでは、意識していないことが多いですよね。
けれども実際に暮らしてみると、部屋中に程よく風が通り光が当たる暮らしは、快適な暮らしに直結します。
充分に朝日が入る部屋で朝を迎えたり、どこかに空気の溜まり場ができにくく、広い窓を開ければ空間全体に新しい風が通る沖縄の家は、イメージしただけで精神衛生上も快活な暮らしができそうですし、実際に家の湿気もこもりにくく傷みにくい家になる点も魅力です。
ですから、沖縄で注文住宅の家を建てるならば、最初から窓の位置や向きに配慮して、通風環境が良く長持ちする沖縄の家を建てるに越したことはありません。
今回はそんな、沖縄の家づくりで採光と通風環境の良い間取りを作るポイントや、いくつかのアイデアをお伝えします。どうぞ参考にしてください。
【沖縄の家づくり】快適な暮らし☆
採光と通風環境がポイント
プライバシーと採光のバランス
沖縄の家づくりでは、採光と通風環境が重要ですが、大きい窓を備えた沖縄の家は陽当たりが良くなりますよね。
ただ、だからと言って大きな窓を付ければ良いと言う訳でもありません。大きな窓はそれだけ通行人の目に室内がさらされやすくなり、プライバシーに影響するのが難点です。
特に沖縄は平屋が多いため、一階部分にあまりに大きな開口(窓)を設けると、室内が丸見えになってしまいます。
昔ながらの沖縄の家は石垣に囲まれ、ひんぷんが玄関前にある造りが多かったのですが、現在は敷地面積的にも周囲の景観とのバランス的にも、なかなか石垣×ひんぷんのある沖縄の家は難しいのではないでしょうか。
【 沖縄の家づくり☆採光アイデア・その1 】
● プライバシーと採光のバランスを取るにはさまざまなアイデアがあります。例えば…、
(1) 2階リビング → 近年人気があるのが、2階リビングです。2階であれば通行人の視点の上ですので、室内が見えにくくなります。
・ 1階部分はガレージを設けて、子ども達の遊び場にしたり作業場にするケースや、土間リビング(※)にしてお客様を気軽に迎え入れる空間にする設計も人気です。
(2) 中庭(坪庭) → 家の中央にテラスを設けることで、太陽光を四方の部屋の奥まで届けることができます。
・ 外側からは通常の沖縄の家に見えても、内側に小さくとも中庭を作ることができるので、プライバシーを脅すこともありません。
この中庭のアイデアは、沖縄の家では特に二世帯住宅でも、表向きは左右に親世帯と子世帯の家が繋がって並んでいますが、内側では中庭を隔てて分かれる設計として人気です。
それぞれの中庭に繋がる壁を開口の大きい窓にすることで、中庭で遊ぶ子ども達を両方の世帯から見守ることができます。
また、中庭を隔ててお互いの家のプライバシーを守ることができますので、親世帯・子世帯共に、ちょうど良い距離感を確保できるからです。
沖縄の家で人気の採光アイデア
プライバシーを守りながら効果的に採光を取り入れるアイデアは、他にもあります。
2階リビングや中庭の採光の取り入れ方はより部屋の奥まで光が入り効果的ですが、一般的な沖縄の家と比較すると、より個性的な住まいにもなりがちです。
そうなると、後々子ども達の独立など、生活の変化に合わせて沖縄の家を売却し、住み替える予定がある方は、売却しにくくなるデメリットも生じ兼ねませんので、窓自体に工夫をする方法も良いかもしれません。
【 沖縄の家づくり☆採光アイデア・その2 】
(3) 縦長窓や小窓 → 大きな開口は家の中が丸見えになってしまうため、通行人の目が気になりカーテンが閉まりがちです。そこで小窓を複数並べたり、横長・縦長窓を並べて視界を遮る窓も役立ちます。
・ 小窓は外から見ても設計によってスタイリッシュな沖縄の家づくりのアクセントとしてもおすすめです。また縦長窓であれば、より広く窓を開放できる滑り出し窓の人気があります。
(4) 吹き抜け → 採光・通風環境双方から見て快適な環境づくりに人気があるのが、吹き抜けのある沖縄の家です。
・ 特に左右に建物があり1階リビングが暗くなりがちな沖縄の家では、吹き抜けで天井から太陽光を取り入れることによって、リビングが明るくなります。
(5) 天窓 → 吹き抜けのある沖縄の家であれば特に、天井にいくつかの窓を設けることで、北向きのリビングやキッチンまで明るい陽射しが通りおすすめです。
本来であれば、採光環境を優先すると窓は南向きがベストですが、環境的に南側に窓を設置できないこともありますよね。このような沖縄の家では吹き抜けリビングなどを設けて天窓から光を取り入れる方法によって、リビングやキッチンが明るくなります。
通風環境を整える
もともと湿度の高い日本のなかでも、高温多湿の沖縄の家では通風環境は必須です。沖縄の家づくりで通風環境を整えるためのポイントは、風の入り口・出口を対角線上に設けるようにしてください。
【 沖縄の家づくり☆通風環境を整える 】
● 対角線上に窓を設けることは必須ですが、さらに南北の対角線上の窓はより良い環境になります。
→ 今の沖縄の家では平屋の他、2階建て・3階建ても増えましたが、それぞれの階でいくつか、対角線上の通風環境を確保するのが理想的です。
※ 部屋で区切られている場合でも引き戸にして、風が通りやすい間取りにするなどのアイデアも良いかもしれません。
前項の採光環境でも出てきた吹き抜けのある沖縄の家ですが、通風環境の観点から見てもおすすめです。
一般的な沖縄の家ではワンフロアごとに対角線上の風の通路を用意する、平面的な通風対策になるのですが、吹き抜けを取り入れることによって、平面だけではなく上下階の通風が実現するため立体的にも風の通り道ができます。
吹き抜けを取り入れた沖縄の家では、1階の窓から風を通すと室内で温められ、その温度によって空気が上がって2階や天窓から流れ出るような風の道ができあがりますので、天窓まで検討してみてはいかがでしょうか。
24時間空調システム
現代の沖縄の家は、気密性がたかく断熱作用に優れた家が増えました。気密性が高いと冷暖房が効きやすく、室内の声も外へ漏れにくいなどのメリットがあり、優良住宅の条件でもあります。
けれども一方で通気性が悪い家にもなるため、より通風環境には配慮しなければなりません。
【 沖縄の家づくり☆24時間空調システム 】
● このような流れから気密性・断熱性の高い住宅への対策として、2003年以降から新築住宅には、24時間換気システムが制度によって装備されています。
→ また、特に最近の沖縄の家では分譲マンションに多い傾向にありますが、24時間換気システムだけではなく、冷暖房を管理して快適な温度を保つ機能「24時間空調システム」を取り入れた新築住宅も増えてきました。
24時間空調システムは例えば床に装備されるなどしていて、常に稼働していなければなりません。ですから故障時などの対応を嫌って、24時間換気システムのみ(こちらは2003年より義務付けられているので)取り入れる家庭もあります。
いかがでしたでしょうか、今回は快適な暮らしを実現する沖縄の家として、採光と通風環境が整った家づくりのポイントをいくつかお伝えしました。
近年人気の沖縄の家プランニングでは、突然の雨でも慌てることなく洗濯物を干すことができるサンルームを洗濯機のあるランドリースペースの横に設置する家も多くなっています。
またサンルームを洗濯物干し場としてだけではなく、2020年からは新型コロナ感染拡大の影響により、巣ごもりにも対応でき、雨の日も利用できるインナーテラスとして設置する例も増えました。
2階リビングは敷居をできるだけなくしてベランダまでつなげたような設計で、外まで続くような広い空間を生み出す(アウターリビング)も人気があります。
自然光が入る設計は休みの日にも快適な暮らしが実現しますので、採光と通風環境に優れた沖縄の家づくりを目指してみてはいかがでしょうか。
まとめ
快適な採光と通風環境のある家のポイント
・採光とプライバシーの両立がポイント
・2階リビングや中庭による採光環境
・縦長窓や小窓もプライバシーと採光を両立させる
・吹き抜けと天窓は上からの自然光が入る
・通風環境は対角線上の窓がポイント
・特に南北の対角線上が通風環境が良い
・風の通り道は複数用意する
・2003年からは24時間換気システムが新築に必須
・分譲マンションを中心に24時間空調管理システムも人気